税務調査

税務署が目をつけるポイント

売掛金の確認

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税務署が目をつけるポイント

売掛金をチェックされます!

対策
  • 売掛金残高と
  • 貸倒損失・貸倒引当金

をチェックしましょう。

税務調査では売掛金の確認は重要項目の一つです。
売掛金とは、サービスなどを提供し、売り上げたにもかかわらず、まだ代金を受け取っていないお金の金額のことをいいます。
税務上は、着手金・前金をいただいた時点で、売上計上をしなければなりません。
また、代金をまだ頂けていない場合でもサービスの提供・商品の受け渡しが完了した時点で売上計上をしなければなりません。
どういうことかというと顧客からもらうはずの代金をまだもらっていないから売上計上をしていない、といったケースが多くあるからです。

税務上は、サービスの提供・商品の受け渡しが完了したものを売上と認識するので、税金の計算においては売上を実際の現金の授受とは切り離して考える必要があります。
商品の受け渡しが完了した時点で売上計上をしていない場合、結果的に「納めるべき税金を知らない間に支払っていない」ということになってしまうのです。
では、どのような対策を講じなければならないかというと、2つポイントがあります。

売掛金残高の確認

経理業務において、売掛金の管理は難しい一面があります。
たとえば、顧客が依頼をしてきて着手金をもらったり、サービスの提供・商品の受け渡しが完了しているのにもかかわらずに代金をまだいただいていない場合などは、“つけ”としてサービスを提供していることになります。
税務調査では、特に期末までの売掛金は漏れなく計上されているかを重点的に確認します。
つまり、着手金やサービスの提供・商品の受け渡しが完了している売上の漏れが無いのかを確認していくのです。

貸倒損失や貸倒引当金が適正かどうかの確認

貸倒れとは、売上計上は行っているのに回収ができていない状態を言います。
回収が出来ない状態になれば、いわゆる不良債権となります。
貸倒損失とは、回収できない売掛金を切り捨てる処理のことです。
しかし、税務上、貸倒れとして処理できるケースは限られています。
税務上では、相手先が破綻している状態でなければ貸倒処理を認めてはくれません。
具体的には、

  • 法的に金銭債権が消滅した場合
  • 事実上の貸倒れ
  • 形式上の貸倒れ

が要件になります。
貸倒引当金とは、貸借対照表に計上される、売掛金や貸付金などの金銭債権に対する将来の取立不能見込み額を見積もったものです。
引当金の計上額については、売掛金の残高を正確に合わせていけば、計上金額について指摘されることがあります。

仕訳伝票、帳簿類、それらに関係する証拠資料の確認

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税務署が目をつけるポイント

取引記録である仕訳伝票、帳簿類、それらに関係する証拠資料がチェックされます!

対策

経理処理・取引などの日常業務の中で未然に防ごう!

税務調査は、本来、調査の通知を受けてからでは遅いのです。
そのため、日常における日々の処理が一番重要です。
税務署では、取引記録である仕訳伝票、帳簿類、それらに関係する証拠資料がチェックされるので、日々の会計的事実について、正確な処理をして、証拠資料を整然と漏れなく保管しておく必要があります。

この保管するにあたっての要点を以下に示します。

消費税への対応

消費税が原則課税の場合は、「帳簿及び請求書等」の保存義務に対応できるように帳簿に記載し、要件満たした請求書等を保存しておかなくてはなりません。

経理処理基準などの作成

勘定科目の判断や決算時に計上する項目などについて、経理処理の基準を作成して、それに基づいて会計処理をすることで、誤りを防止することができます。

税務判断を要するものへの対応

会計処理には、税務的判断を要するものが多数あります。
これらの税務判断を要するものについては、法令、判例などを参照にするか、関与税理士に相談することが望ましいです。

会社と個人の取引

会社と個人の取引の場合は、特に、客観的な合理性のある内容で契約し、契約書、計算根拠の資料などを保管しておく必要があります。

決算書の確認

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税務署が目をつけるポイント

決算書は必ず見られます!

対策

決算書・申告書の作り方に細心の注意を払う!

決算書の作成

決算書の作成においては、会社法、会社計算規則、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準などに従って作成されなければなりません。

  • 確定決算で損金経理していなければ、税務上損金算入が認められない事項
  • 確定決算で損金か、その他利益剰余金の区分における積立てで計上していなければ、税務上損金算入が認められない事項
  • 適正な会計処理基準を尊重する事項
  • 重要性の原則を適用する事項
  • 期間帰属に関する処理
決算書の分析

決算書の分析は、単に税務調査に備えるためだけでなく、経営上の判断や今後の経営方針を決定するためにも重要なものです。

  • 期間比較・・・勘定分析をするとともに、過年度の実績と比較検討して、異常変動項目があれば、関係資料などにより内容を確認し、その理由を解明し、資料を保管しておく必要があります。
  • 同業種比較・・・経営指標などにより、同業種の経営比率と比較検討して、異常項目につき、自社の特殊性などその理由を解明しておく必要があります。
申告書の作成

作成者以外の人に、損益計算書の当期利益から課税所得の算出、税額計算まで、計算チェックを依頼するなど、誤りがないように正確に作成しなければなりません。

お金の出入りの確認 その1

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税務署が目をつけるポイント

銀行調査は、公私をしっかり区分!

対策

この銀行調査というものは、納税者の所得などを調査することが目的です。
税務調査において、銀行調査が行われないようにするには、納税者側の帳簿、証憑書類、計算資料などの、いわゆる税務証拠資料の説明により、調査官が銀行調査を要しないとの心証を得る程度まで、調査官の疑問に答えることが必要です。
必ず確認してください。

不正防止の管理体制

不正防止の観点から、日常的にチェックできる管理システムを整備しておくべきです。
特に、日々における現金・預金などの出納については、必ず残高チェックなどを実施しておく必要があります。

公私混同の防止

これは、大変多いケースで、特に個人事業主の場合であると企業と個人の間での、安易な金銭の貸借や、立替などを行うことができるため、そこを突っ込まれるというパターンが多くあります。
自動振替の支払についても、個人的な支払は個人口座から、事務所の支払は事務所の口座から引き落とされるように明確に区分しておく必要があります。

残高照合の一致

預金残高と帳簿の残高を照合することは、ごく基本的なことですが、正確な会計処理をする上では、非常に重要なことです。
特に期末においては、残高証明書の残高を照合し、不一致の場合には内容を分析し、
訂正があれば適正な処理をし、なお不一致額があれば、残高調整表を作成しておく必要があります。

お金の出入りの確認 その2

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税務署が目をつけるポイント

現況調査は、売上金の管理体制を設備!

対策

現況調査は、不正計算が想定される場合に行われる調査です。多くの企業の場合は必ずといっていいほどこの調査が行われています。
事前対策としては、不正防止のチェック・管理体制を整備すること、現金管理、特に売上金の管理体制を整備することが必要となります。

ポイントとしては、以下のような要点を抑える必要があります。

売上金

売上金は、日々正確に記帳し、現金管理も日々整理し、現金有り高と帳簿残高、証憑書類から計算した残高をチェックし、一致しない場合は、その理由を解明し、適正な処理をする必要があります。

現金有り高

日々の現金有り高をチェックしたときは、日計表や金種別明細表を作成し、年月日、時間、チェック者名を記入し、保存しておく必要があります。

売り掛け

掛け売上の請求書は、連番の番号が印刷された複写式のものを使用し、失敗したものも破棄せず、欠番がないように保存しておく必要があります。

小口現金制度

小口現金制度を採用するなどにより、売上金から諸経費の支払をしないようにして日々預金し、売上金と預金預け入れ額とが容易に照合できるようにする必要があります。

役員給与の確認

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税務署が目をつけるポイント

役員給与は事前の支払でしっかり対策!

対策

法人形態をとっている企業においては、役員給与が税金の計算上、控除できる損金になるパターンが2つに限定されています。

その2つのパターンを以下に見ていきます。

定期同額役員給与

これは、従来の役員報酬の損金するための条件を明確化・厳格化したものです。 役員給与の支給については、以下の手続きを踏んで行うことになります。

  • 株主総会で役員給与の支給総額の決定(株主総会議事録・定款)
  • 取締役会で各取締役への支給額の決定(取締役会議事録)
  • 実際の支給

この手続きは、株主総会の開催が決算日から3ヶ月以内とされているケースが多い為、役員給与の変更も決算日から3ヶ月以内であれば認められます。

事前届出役員給与

これは、事業年度が始まる前にこの先1年間の役員報酬の支給金額と支給時期を届出ておくものです。 その金額は、毎月同一でなくてもかまいません。

特殊支配同族会社の役員給与

平成18年度法人税改正で、創設された制度です。これはいわゆる「一人オーナー会社」の課税強化を狙った制度です。
制度の内容としては、会社の株式の90%以上がオーナーとその一族により所有されている、常務に従事する役員の過半数が一族で占められている会社のオーナーの役員給与のうち、給与所得控除の金額を法人税の対象とするという制度です。